【住宅支援打ち切り問題概要】
2017年3月で、原発事故の区域外避難者(自主避難者)への住宅支援が打ち切られようとしています。支援継続や打ち切り後の対策を求める国や福島県、各自治体へ向けての交渉も大詰めを迎えています。
一方で、神奈川でのいじめ事件や、新潟の教員のいじめ発言などを受けて、改めて原発事故避難者の境遇について世間の注目が集まりつつあります。避難者への偏見や無理解、バッシングがあり、その影響は往々にして家族にまで及ぶことことから、避難当事者の方が実名や顔出で発言することがなかなか難しく、直接の訴えを聞く機会は限られています。また、そのことがこの問題への世間の理解が広がることを妨げています。
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2017年3月末で、自主避難者への唯一の支援策だった、住宅の無償供与が打ち切られようとしている。打ち切り後、福島県は、福島への帰還者に対して引っ越し費用だけは負担する。
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自主避難者の数は約12600世帯、3万人。すべての都道府県に散らばっている。
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福島県による調査によると、自主避難者の7割が「帰還したくない」と回答。また、7割が移転先が決まっていない。
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避難先の自治体によっては、独自に住宅支援の延長を決めている。
北海道、山形県、鳥取県、京都府、愛媛県、基礎自治体レベルでは、三重県伊勢市や、鳥取市、米子市、兵庫県篠山市など。 -
国による救済措置は行われていない。
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自治体によっては、職員によって「戸別訪問」という名の威圧的な退去通告が繰り返されている(東京都)。
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母子家庭の5割が相対的貧困ライン以下の生活をしていると言われる昨今、母子家庭や父子家庭、夫婦が分かれて福島との二重生活などケースの多い自主避難者は、避難先での生活再建自体がそもそも困難を極めている。
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こうした状況の中、避難者は経済的にも精神的にも追い詰められており、政府交渉と並行して、移転先の確保の手立てを講じる必要がある。