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3・11の福島原発事故からの体験を伝えます。
自主避難した美容師のブログ
2016/12/06
原発事故が起きて避難することに
なった時、私は福島の自宅に住むことは
もう二度とないだろうと思った。
そう判断した時、
15年間滞りなく支払ってきた
自宅のローンの返済をやめた。
放射能が長年に渡り人体にもたらす影響や
30年経っても半分しか減らないなど、
一旦事故が起きてしまえば汚染された
土地は簡単には元に戻すことが出来ないという
事実を知った。
チェルノブイリでは事故から5年、10年と
爆発的に病気が増え、
30年が経った今でも子どもたちに
健康被害が出ているという現状がある。
そのようなリスクを我が子や
未来の孫へ背負わせる訳にはいかない。
国や事故を起こした東電が
責任をとらないならば
自分で守っていくしか方法はない。
避難したら生活の補償はない、
住むことのない自宅の
毎月の高額なローンを支払ながら
やっていくことは出来ない。
夫の名義だったこともあり
自宅は破産手続きを取ることにした。
私たち夫婦が家を建てた15年前は
まだバブルが崩壊したばかりとはいえ、
土地の値段も高く今の倍以上の地価であった。
田舎の住宅地ではあったが
100坪の土地と美容室兼自宅は
4千万円で購入した。
それ以外にも美容室を経営してきた
15年の間には、手狭になったことから
二度の改装費用がかかっている。
ローンは金利の高い時期に借り入れし
支払ってきた。
支払いが滞ると同時に相手先の銀行から
避難したばかりの私たちの元へ
慌てて電話が入り、
私は覚悟はしていたが重苦しい口調で
放射能の影響で子どもに体調への
異変が出たことを話し、
もう福島には住めないと判断したので
自宅は破産手続きを取ることにした
ことを伝えた。
地震だけなら福島の美容室を
やめることもなく、
家のローンを支払えたけど
避難したので収入が無くなり
もう支払えなくなりましたと言うと、
電話の向こうの担当者はがっくりと
した声で諦めたように、
「そうですか、、」
と言って法的な手続きを進めると
伝えてきた。
緊迫したやり取りの後、
お互いがやるせない気持ちの中で
電話を切った。
避難先では役所に
罹災証明を提出したことで
一年間の保険税が免除されたものの、
福島に残してきた自宅は破産が
認められるまで一年はかかり
固定資産税を納めなくてはならなかった。
それ以外にも着手金や弁護士費用、
裁判で福島に帰省する飛行機代など
貯金を切り崩して充てた。
美容室をやめて収入が無くなっても
福島の収入に対する所得税や消費税は
当たり前に支払わなくてはならない。
また、年金も支払えなくなったことで
督促の電話や通知が何度もきた。
こういった現状を知らない方からは
「お金があったから避難出来たんだね」と
言われたが、
自主避難者の中には福島で
財産や収入があったばかりに
借金までして税金を支払なくては
ならなかった人もいるのだ。
避難してから生活のために
始めた仕事で得たわずかな給料が
振り込まれる銀行口座から
予告なく税金のために給料の
差し押さえをされた避難者がいた。
その人は避難元の役所に電話し
抗議すると役所の担当者から
「放射能は大丈夫だから福島に
帰って来て下さい」と
きつい口調で言われたそうだ。
自主避難者は放射能は大丈夫なのに
勝手に避難した無責任な者として
追い込まれていった。
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