ラウンドアップNO! ネオニコNO! 農薬と食の安全を考える
緑の党2018キャンペーン
農薬使用状況等自治体調査結果
長野・東京
■□■ ラウンドアップNO!ネオニコNO!キャンペーン ■□■
「農薬使用状況等自治体調査」の結果発表!
緑の党では4月から3ヶ月間「ラウンドアップNO!ネオニコNO!農薬と食の安全を考えるキャンペーン」と題して、全国で食品に残留する農薬と健康についての啓蒙パンフレット配布活動、各地でイベントや学習会、自治体議会での質疑や、市民からの申し入れをしています。
その中で、長野県と東京都で市区町村の農薬使用状況を調べるためにアンケートを行い、このたび結果がまとまりましたので発表します。
緑の党グリーンズジャパン公式HPでもお読みいただけます。
農薬等使用状況自治体アンケート調査結果報告書
緑の党グリーンズジャパン
2018ラウンドアップNO!ネオニコNO!キャンペーン
はじめに
21世紀に入ってからシックハウス問題、化学物質過敏症の増加や最近では 「香害」問題など、有害化学物質に関する意識が高まってきており、市民からの働きかけもあり、国も自治体も農薬使用を控えるようになってきたと思います。薬剤散布にあたっては事前の周知が必須。実際に体調が悪くなる人がいるのです。
農薬、特にラウンドアップ(グリホサート)やネオニコチノイド系農薬は、発ガン性、アレルギーの増加、子どもの脳神経系への影響などの懸念から、国際的にも使用中止に踏み切る国や地域が増えています。しかし日本政府は逆に規制緩和をしました。危険性がわかっていながら被害が出るのを待つことなく、被害の可能性が少しでも判明した段階で使用を控えるのが「予防原則」です。私たち緑の党は、予防原則に則り、農薬原則不使用を訴えるために「ラウンドアップNO!ネオニコNO!キャンペーン」を開始しました。
背景
2007年(平成19年)、環境省は「農薬飛散リスク評価手法等確立調査」を行ない、その結果を自治体における街路樹、公園緑地等での防除実態調査結果として発表しています。この時点で「農薬不使用」は非常に少ないものの、「農薬以外の方法」をとる自治体もすでにありました。(この後、国としての自治体調査はまだないようです)。
2008年(平成20年)には基本的な考え方をFAOの定めたIPM(注1)に則り、自治体に参考にしてもらう目的で「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル ~農薬飛散によるリスク軽減に向けて~」を発行し、今年3月にも更新されています。
キャンペーンでは2018年現在「自治体の管轄する公的施設・学校・道路脇街路樹等で、農薬の使用状況はどのようになっているのか」を調査しました。
もっと綿密な計画のもとに行えばよかったが、時間的にむずかしかった…という反省はあります。それでも東京と長野の調査結果が出て、都市部と農業・林業が多い自治体の全国的な傾向が見えるのではないでしょうか。
回答からわかったこと
問1: 農薬使用の有無を問い、使用場所別に種類、頻度・方法、目的を記入。学校は保健所や教育委員会、公的施設も庁舎と道路では部署が違うなどで、ご苦労をかけましたが、一部では「環境政策課」が一括把握している自治体もありました。
農薬を「使用していない自治体」の「使用しない理由」は参考になる内容で、健康被害・環境汚染を充分把握し、配慮していることがうかがえます。
一方で、「使用している」自治体の農薬の種類を見ると、グリホサート、ネオニコチノイド系の農薬を、特に長野県では多くの自治体が使用しています。また、有機リン系農薬で、過去に深刻な被害が報じられてきたスミチオンの使用が長野で3、東京都で15自治体も認められたことは予想外です。
使用している自治体に対しては、使用の効果が見られたか、結果の検証をするよう、また、国の通知に準じ、都道府県には「農作物病害虫・雑草防除基準」などのガイドラインがありますので、それをクリアするよう求めたいと思います。
問2:「特定農薬の健康被害についての研究や研修」は、実施数が非常に少ないです。
自治体においてこれに精通した職員がいないということでしょうか。自治体職員や保健所、学校関係者は、有害化学物質に関する知識が必要ではないでしょうか。今回の自治体アンケートで「農薬使用について全体状況を把握するきっかけになった」という自治体担当者からの声もありました。ぜひ都道府県の実施する講習会などへ積極的に参加して基本的な知識を持ってほしいものです。
問3:国の通知内容のチェックは、特に「現地混用(いくつかの農薬を現地で混ぜる)の禁止」「農薬以外の選択肢の検討」を徹底、また全体でゼロ回等だった「使用後の周辺住民へのアンケートの実施」は、是非取り組んでいただきたいです。
暮らしや健康を守る自治体の責務として、化学物質に敏感な住民がいることを前提に対応すべきだと考えます。問1で「不使用」の理由を、「化学物質過敏症」「薬剤アレルギー」の住民がいるから、と複数の自治体が回答しています。まずは学校だけでも「原則不使用」の検討をお願いします。
問4:水道水の残留農薬が検出されたところはありませんでした。今後とも、水道水への薬剤の流入のないよう取り組み、監視・検査をお願いします。
問5:「農薬を使用していない」自治体に、なおかつ「害虫の発生でSOS」「住民からの要請があれば対応するかどうか」と質問しました。詳細記入がたくさんありましたが、特筆すべきは、住民の要請があっても「市では、環境や人体への影響を考慮し、散布できない旨を説明して納得していただく」等として、自治体の方針を貫いているところが複数あったことです。自治体としての責務をしっかり担い、職員の意識が高いことが感じられます。
ところが「業者委託」「専門家に依頼」なども相当の割合で、その場合はどんな薬剤を使用しているか把握されていません。自治体が直接タッチしなければ良いかといえば、そうではなく、ガイドラインに沿って環境と健康に配慮するよう、専門業者にこそ促したいところです。入札時点で自治体側が薬剤を指定する長野県の事例では、それはネオニコ系農薬とのことです。
まとめ
<人体や環境に悪影響を与える農薬は不使用、それが難しければ国のガイドラインを厳守し、グリホサートやネオニコ系農薬はできるだけ使わないよう徹底してください>
この度の調査は公的な施設・道路等に関わるもので、田畑に使われる農薬については、農地は主に私有地で自治体調査では上がってこないのですが、食に直結する田畑の農薬使用にも、また規模が大きく、ミツバチなどへの影響多大なネオニコ空中散布も注視していきたいと思います。農薬の多使用は、大地と生態系を破壊し、人間の活力も低下させてしまいます。「農薬を使わない野菜」を消費者として日々選択することも、未来の選択とイコールであると思います。
アンケート調査を通して見えてきたのは、住民の健康を守ろうと、農薬不使用を実行している自治体がいくつも存在することです。私たち緑の党グリーンズジャパンはこうした行政のご努力に心から敬意を表し、連携し、今後とも農薬被害のない国づくりを働きかけていきます。また有権者として、選挙の折にはぜひ、候補者の農政についての考え方を確認していきましょう。
アンケートの回答にご尽力いただきました自治体に、心から感謝を申し上げて報告といたします。
最後になりましたが、アンケート調査票の本文中グリホサートやネオニコ系農薬を「特定農薬」と称しましたが、これについて、国が「化学物質を用いない安全な農薬」をすでに「特定農薬」と位置づけている事がわかり、いくつかの自治体からご指摘を受けました。不手際をお詫びいたします。
注1:「IPMとは、すべての用いることが可能な防除技術を十分検討し、それに基づき、 病害虫の密度の増加を防ぎつつ農薬その他の防除資材の使用量を経済的に正当化できる水準に抑え、かつ人及び環境へのリスクを減少しまたは最小とするよう、適切な防除手法を組み合わせることである。IPMは、農業生態系の撹乱を最小限とする健全な作物の生育を重視し、また自然に存在する病害虫制御機構を助長するものである」。